避けているのは仕事ではなく感情
先延ばしを時間管理の失敗と見ると、なかなか解決しません。実際に避けているのは、その仕事を考えたときに湧く不快な感情です。退屈、見通しの立たなさ、うまくできない気がする不安、評価される重さといったものです。別のことをすればその感情が一時的に消えるので、先延ばしは即座に報酬のある行動になります。 だから先延ばしは意志の弱い人だけの問題ではなく、不快な感情の扱い方の問題に近いのです。
先延ばしが避けているのは仕事ではなく感情です。その感情の見つけ方、完璧主義が着手を妨げる仕組み、始めやすい環境づくり、自責が逆効果になる理由を整理しました。
先延ばしを時間管理の失敗と見ると、なかなか解決しません。実際に避けているのは、その仕事を考えたときに湧く不快な感情です。退屈、見通しの立たなさ、うまくできない気がする不安、評価される重さといったものです。別のことをすればその感情が一時的に消えるので、先延ばしは即座に報酬のある行動になります。 だから先延ばしは意志の弱い人だけの問題ではなく、不快な感情の扱い方の問題に近いのです。
先延ばしには時間についての錯覚も混ざっています。人はいますぐの不快さを大きく感じ、あとの損は小さく感じます。そのため「明日の自分」は今日の自分より意欲も時間もあるかのように想像されます。けれども明日になれば、その人はまた今日の自分です。締め切りが遠いうちは仕事が小さく見え、近づくにつれて急に大きく見えるのも同じ理由です。この錯覚を減らすには、大きな締め切り一つの代わりに途中の締め切りをいくつも置き、損が遠い未来ではなく近い日付にやって来るようにする方法が使われます。
何が不快なのかを具体的に言い当てると、対応が変わります。見通しが立たなくて先延ばしにするのと、失敗が怖くて先延ばしにするのとでは、必要な処方が違います。 どんな感情かわからないなら、その仕事を思い浮かべたときに体がどう反応するかから見てみましょう。ため息が出るのか、胸が詰まるのか、ただ面倒なのかで手がかりが見えてきます。
うまくやりたい気持ちが強いほど、粗い状態に耐えられず着手が遅れます。しかしどんな成果物も粗い状態を通らなければ完成しません。下書きは雑に書いてよいと先に決めておけば、始めるのがずっと楽になります。直す作業は作る作業より感情の負担が軽いものです。 「まずは粗くても最後まで作る」のように、最初の基準を前もって下げておくのも一つの方法です。完成度はあとで時間をかけて上げればよいのです。
いったん始めれば思ったより続く、という経験はよくあります。だから目標を「終わらせる」ではなく「2分だけやってみる」に下げる方法が効きます。ファイルを開く、最初の一文だけ書く、運動着に着替える。失敗しようのない大きさにすれば、避けるべき感情そのものが小さくなります。 続けるかやめるかは始めてから決めてもいいと自分に許すと、始めるハードルはさらに下がります。
意志に頼るより、始めやすい環境をつくるほうが安定して効きます。決意は気分で揺れますが、前もって決めておいた仕掛けは気分に関係なく働くからです。
先延ばしにした自分を激しく責めると、その仕事と結びついた不快感がさらに大きくなり、次はより強く避けるようになります。研究で繰り返し出てくることの一つは、自分に対して厳しすぎない人のほうが、むしろ再び始めやすいという点です。すでに先延ばしにしたことは戻せないので、いまできる最も小さなこと一つに移るほうがよいのです。 先延ばしをしたあとは「なぜまたこうなったのか」より「何が不快だったのか」を問うほうが次に役立ちます。原因がわかれば次の対応を選べますが、自分を責めても何の情報も残りません。
誰でもときには先延ばしをします。けれども、ほとんど何も始められず、そのせいで仕事や学業、生活が長いあいだ崩れているなら、意志の問題だけとは考えにくいでしょう。うつや無気力、不安、注意の難しさが先延ばしのように見えることもあります。そのようなときは計画表をさらに作るより、精神科や相談機関で状態を確かめてもらうほうがよいでしょう。この記事は一般的な情報であり、診断の代わりにはなりません。